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■ global2jからのおしらせ
■ 今月のキーワード
■ 金融翻訳事情
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■ global2jからのおしらせ ■
○最新金融翻訳講座Aコース募集のおしらせ
現在、最新金融翻訳講座 Aコースのみ受講のお申し込みを受け付けております。
※総合講座、最新金融翻訳講座B、C、1回コースは募集停止中です。
Aコース10月会員の申込期限は2017年7月20日となっておりますので、ご興味のある方は講座ホームページをご参照ください。
■ 今月のキーワード ■
【technical recession】定義上の景気後退
調査レポートや新聞の経済記事などでよく見かける表現であり、「2四半期連続で成長率がマイナスになること」を意味します。
(例文)
South Africa slipped into a technical recession.
(訳例)
南アフリカは定義上の景気後退に陥った。
■ 金融翻訳事情 ■
【翻訳者Oさんへのインタビュー第2弾】
今回は前回に引き続き、翻訳者Oさんへのインタビューです。前回は翻訳者になるきっかけについて伺いましたが、今回は翻訳者になられてからのお話を中心に、Q&A形式でお届けします。
――(ここからインタビュー)――
Q:いつもOさんの英文読解力、日本語表現力に感服しているのですが、それらをどうやって身につけられたのでしょうか。そしてどのように研鑽されているのでしょうか。
A:読解力については、翻訳の技術に関する本や文法の本も何冊か読みましたが、結局は英文をたくさん読むことが読解力の向上につながったと思います。表現力に関しても、種類を問わず多くの優れた文章を読むことが大切だと感じています。
Q:Oさんの目を見張る翻訳スピードにスタッフが思わず唖然となることも少なくないのですが、翻訳のスピードアップの秘訣は何だと思われますか?
A:自分が翻訳したものはもちろん、他の方が翻訳したものも、原文と完成版が入手できるものはできるだけ対訳君(英日対訳の用例集を作成・検索するツール)に登録しています。それ以外にも、ウェブで見かけたものなど、使えると思った表現を登録しています。登録に時間はかかりますが、表現や解釈に迷ったときに対訳君で検索すると過去の用例が出てくるので助かります。また、その時々に話題になっている(経済レポートに出てきそうな)トピックについて、新聞やネットのニュースなどで概要を把握しておくよう努めています。実際の翻訳作業に取り掛かる前にどれだけ準備が整っているかで、翻訳のスピー
ドが大きく変わってくると思います。
Q:前職までのご経歴は「理系」寄りのように思われますが、翻訳をするうえでこうしたバックグラウンドが役立っていると感じられることはありますか。(あるとすれば)それはどのような時ですか。
A:コンピュータープログラムを書く仕事をしていたので、パソコンの操作(ウェブでの検索、ちょっとしたトラブルへの対処、簡単なマクロの作成など)に慣れていることは役に立っています。
Q:前回のインタビューでは、もともと金融関連の知識がなかったところからスタートされ、インターネットでのリサーチによって徐々に知識を身につけられたとお話しいただきましたが、未知の単語に対する適切な訳語はどのように調べ上げていらっしゃるのでしょうか?リサーチのコツがあれば教えてくださ
い。
A:特にコツというものはなく、調べたい言葉に、「とは」、「意味」、「definition」、「meaning」などを付けて検索するなど、一般的な方法で検索しています。適切な訳語が検索で出てこない場合は、英語を見てそれらしい訳語を自分で考え、それで検索することもあります。それでダメなら諦めて自分なりの訳語を作り、コメントを付けて提出します。
Q:今までの仕事で一番面白かったもの、一番嫌だったもの(困ったことでも)はどんなことでしょうか。
A:面白かったのは、投資情報をコンピューター端末で検索・閲覧するアプリケーションの使用方法を翻訳した仕事です。実際に操作ができないのでメニュー項目や画面の遷移などを類推しながら翻訳しましたが、ここではプログラマーをやっていた時の知識や経験が活かせました。大変だったのは、早朝に米国
や欧州の株式・債券市場の動向などに関するレポートを受け取り、午前9時前に納品する仕事です。その時はまだそうしたレポートの翻訳に慣れておらず、独特の言葉遣いに悩んだほか、リサーチや推敲・見直しの時間が十分になく、時間に追われる感覚があって大変でした。
Q:翻訳の仕事をするうえで一番気を付けていらっしゃることは何ですか?
A:気を付けているのは体調管理です。たまに風邪を引いて高熱を出しますが、今のところそうなるのは不思議と休みの日が多いです。仕事がないと油断するのかもしれません。
――――(ここまで)――――――
いかがでしたでしょうか。Oさんの日頃の素晴らしいご活躍ぶりから、実はスタッフ一同「Oさんの類まれなる翻訳能力には何かとてつもない秘密があるに違いない!!」とひそかに期待していたのですが、実際には日ごろからの地道な努力の積み重ねが現在の実力につながっていることが分かりました。「平凡」ともいえるような努力を厭わずに続けられる「能力」こそ、優秀な翻訳者になるために不可欠な要素といえるかもしれません。これからも自己研鑽を続けていきたいものですね。Oさん、ご協力ありがとうございました。 |