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■ 今月のキーワード
■ 金融翻訳事情
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■ 今月のキーワード ■
【real money accounts】 実需筋、実需投資家
保険会社や年金など投機筋でない実需に基づいた投資家のこと。同じ意味でreal
money investorsという表現もあります。
(例文)
Emerging markets debt has continued
to trade higher, driven by strong
demand from real money accounts.
(訳例)
エマージング債は実需筋の旺盛な需要を原動力に引き続き上昇している。
■ 金融翻訳事情 ■
【金融翻訳コーディネーターの多忙な一日】
皆さんがフリーランス翻訳者として翻訳会社に登録した場合、仕事の受注先窓口となるのが翻訳コーディネーターです。今回は、即日納品のプロジェクト3本(為替レポート、経済指標カレンダー、コモディティ関連レポート)をはじめ、当社が定期的に受注している案件が集中する金曜日を例に、翻訳コーディネーターの仕事の一日をご紹介します。
午前8時〜
1本目の為替レポートの入稿が午前8時頃なので、この日はそれに合わせて出社。毎週担当している翻訳者に翻訳を依頼後、経済指標カレンダーの翻訳も前もって決まっている翻訳者に手配。
午前9時〜
翌週月曜日に納品するレギュラー案件のマクロ経済レポートが入稿。担当翻訳者に発注。その後、前日の夜からこの日の朝までに届いていたEメールをチェックする。
午前10時〜
金融商品説明資料の翻訳見積もり依頼がある。内容はかなり専門的で難易度が高い。依頼主にはスケジュールなどを調整の上、折り返し連絡すると伝え、第一候補の翻訳者(以下:Aさん)に連絡。Eメールで原文ファイルを送り、携帯電話にメッセージを残しておく。Aさんはオンサイト翻訳者として金融機関に勤めているため、発注のタイミングや締め切りなどを調整するのが難しいが、数十分後にAさんから受注可能との回答がある。早速、先方に見積もりを送付し、納期を交渉。
午前11時〜
翻訳者2名から経済指標カレンダーの訳文が到着。訳文をエディターに回す。
商品説明資料の翻訳案件について先方より正式な発注がある。早速、Aさんに依頼。
翻訳者2名から為替レポートの訳文が到着。訳文をエディターに回す。
経済指標カレンダーの訳文を納品した直後、レギュラー案件のコモディティ関連レポートが入稿。担当翻訳者に依頼。
正午
昼食
午後1時〜
ある外資系金融機関からの緊急案件。月曜日の朝一番までにM&A関連のプレゼンテーション資料の翻訳が必要なため、週末に作業可能な翻訳者を予約したいとの問い合わせがある。
第一候補の翻訳者の週末スケジュールが空いているのを確認し、連絡する。しかし、15分以上経っても連絡がつかなかったため、至急第二候補の翻訳者(以下:Bさん)に電話。Bさんに引き受けてもらえることになる。依頼主に受注可能の旨を伝えたところ、正式に発注がある。早速、Bさんに翻訳を依頼。
午後2時〜
コモディティ関連レポートの訳文が翻訳者から到着。訳文をエディターに回す。
エディターがチェックした為替レポートが完成。先方に納品。
コモディティ関連レポートの訳文を納品。
午後6時〜
翌週月曜日に納品する債券レポートが入稿。担当翻訳者(以下:Cさん)にEメールで翻訳範囲を指示。数分後、Cさんから「了解致しました」との返事がある。
この日納品した3件のレギュラー案件の完成版ファイルが依頼主から送られてくる。エディターが内容を細かくチェックした後、各翻訳者にフィードバックとして送付。為替レポートを担当した翻訳者には、エディターからの翻訳に関する注意点を伝える。
午後6時半頃
次週の予定を確認してから帰宅。
翻訳コーディネーターの仕事で難しいのは、依頼主との交渉とスケジュールの調整です。例えば、依頼主の希望納期が厳しい場合にはこちらの事情をうまく説明し、締め切りを交渉しなければなりません。また、緊急案件が発生した場合には、別件を担当中の翻訳者に至急案件を優先してもらったり、第一候補の翻訳者と連絡がつかなければ次の候補者を探すなど、臨機応変に動く必要があります。現場の予定に左右されることが多いため、何とかうまく受注できるよう、スケジュールを調整することはしばしばです。
最も多忙な一日を振り返ってみると、限られた時間の中で案件を処理する手腕こそ、翻訳コーディネーターに最も求められる能力であるということに改めて気づきます。日々、さまざまな依頼が舞い込んできますが、翻訳業務全般がスムーズに進むよう、これからも全力を尽くしていきたいと思います。
■ global2jからのおしらせ ■
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