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■ 金融翻訳事情「金融翻訳とは(4)」
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■ 今月のキーワード ■
【k】
「1,000」の意味。以下の(2)にも出てきますが、調査レポートなどで頻繁に
見られる表現です。
(例文)
The construction sector added 22k jobs in January following December's 10k addition.
(訳例)
建設業の雇用は12月の1万人増に続き、1月は2万2,000人増加した。
■ 金融翻訳事情「金融翻訳とは(4)」 ■
1月号から3回にわたり投資家向け調査レポートについて触れてきましたが、実際の調査レポートはいったい、どのようなものなのでしょうか。今号ではその内容が分かる具体例として、当社の翻訳講座で使用している教材「最新金融レポート演習」をご紹介します。
≪「最新金融レポート演習」のご紹介≫
「最新金融レポート演習」は、当社が実際の仕事を通じて入手した投資家向け調査レポートを参考に作成したオリジナル教材です。「生」の金融翻訳を知っていただくため、英文レポートは直近の市場動向を扱った内容のものを選んでいます。また、訳例は業界第一線で活躍するプロの翻訳者が用意しています。
以下の(1)〜(3)は、「最新金融レポート演習」2007年1月号から3月号の抜粋です。各記事がどのように訳されているか、原文と対比させながら読んでみましょう。
(1)米中経済関係
米国では対中貿易赤字が大きな問題となっています。このレポートは、米連邦議会の議員がそれぞれ中国問題に対してどのような立場を取っているかについて述べたもの。金融・経済翻訳では、各国の政治、特に米国やユーロ圏の政治についても理解しておくことが大切です。
(原文)
Nancy Pelosi, the new Speaker of the U.S. House of Representatives, has long been known as a vocal critic of China's human rights policies who has also been strongly opposed to expanded U.S. trade relations with the PRC. Moreover, Reps. Charles Rangel and Sander Levin will likely play larger roles as the respective Chairmen of the key House committee and subcommittee on trade issues. Both congressmen have sharply criticized China's currency policies and trade practices over the past several years.
(訳例)
米下院のペロシ新議長は長い間、中国の人権政策に極めて批判的で、米国の対中貿易関係の拡大にも強く反対する人物として知られてきた。さらに、ランゲル、レビンの両下院議員は、それぞれ下院の主要な貿易問題の委員会および小委員会の長として、より大きな役割を果たすとみられる。両議員はここ数年にわたり、中国の為替政策と貿易慣行を激しく批判している。
(最新金融レポート演習2007年1月号より抜粋)
(2)米雇用統計
米国で雇用統計が発表されると、各金融機関は以下のようなレポートを出します。日経新聞などでもこうした内容の記事が必ず掲載されますので、毎回チェックしておくとよいでしょう。
(原文)
Despite a considerably lower-than-anticipated figure for nonfarm payrolls in January (+111k vs. +206k in December), there were +99k in revisions to the last four months. This means the three-month moving average for nonfarm payroll gains more or less held steady at +171k. Job creation in the private service sector came to 90k jobs in January after averaging +194k for the three preceding months. On the other hand, the manufacturing sector continued to lose jobs (-16k vs. -18k previously) with the seventh consecutive month of decline.
(訳例)
1月の非農業部門雇用者数は予想をかなり大きく下回ったが(11万1,000人増、12月は20万6,000人増)、過去4ヵ月に対しては計9万9,000人の上方修正が加えられた。これは、非農業部門雇用者数の伸びの3ヵ月移動平均が17万1,000人とほぼ横ばいを維持したことを意味する。民間サービス業が1月に9万人の雇用を創出した一方(その前3ヵ月の平均は19万4,000人増)、製造業では引き続き雇用が失われ(1万6,000人減、12月は1万8,000人減)、7ヵ月連続の減少となった。
(最新金融レポート演習2007年2月号より抜粋)
(3)インド株式市場
中国やインドなどの新興市場がレポートで取り上げられる機会も増えてきました。このレポートは、インドの代表的な株価指数であるSENSEX指数に関するものです。内容自体はそれほど難しいものではありませんが、企業名などの検索にやや時間がかかるかもしれません。
(原文)
The Sensex was down 471 points yesterday, closing at 12,415 and with all sector indexes losing 4%-6%. The only Sensex stocks finishing in positive territory were Grasim Industries and Gujarat Ambuja Cements. The Sensex index has now fallen nearly 16.5 % from its record high of 14,723, which was set last month. The fall in the Indian stock market was in line with other global markets, with the sell-off triggered by hedge funds' unwinding of long positions and by margin calls.
(訳例)
SENSEX指数は昨日、471ポイント安の12,415で引け、セクター別指数も軒並み4〜6%下落した。SENSEX指数銘柄で値を上げたのはグラシム・インダストリーズとグジャラート・アムブジャ・セメントのみだった。SENSEX指数は今や、先月に記録した史上最高値の14,723から16.5%近く下落している。インド株式相場の下落は世界の他の市場と歩調を合わせたものであり、ヘッジ・ファンドによるロング・ポジションの巻き戻しとマージン・コール(追い証)が相場急落の引き金となった。
(最新金融レポート演習2007年3月号より抜粋)
金融・経済翻訳がどのようなものか、大体掴めましたか。翻訳技術の習得は翻訳力を向上させる上で欠かせませんが、原文とそれに対応する良質の訳文をたくさん読み、業界特有のスタイルに慣れることも大切です。この分野の翻訳をされたことのない方はまず、手本となる翻訳に触れるところから始めてみてはいかがでしょうか。
■ global2jからのおしらせ ■
・現在、「金融・経済翻訳総合講座」の修了生トライアルを実施しています
(応募期限:今月27日(金)午後5時)。ご興味のある方は「採用情報」
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