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■ global2jからのおしらせ
■ 今月のキーワード
■ 金融翻訳事情
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■ global2jからのおしらせ ■
12月16日開講講座のお申込期限は11月28日17時です。年内に受講を開始したい方は是非この機会にお申し込みをご検討下さい。
■ 今月のキーワード ■
【quarterly refunding】四半期定例入札
米財務省が各四半期の半ばに実施する米国債の入札のこと。
(例文)
The Treasury market fell yesterday as dealers sold securities in prepa ration for next week's quarterly refunding.
(訳例)
昨日の米国債相場は、ディーラーが来週の四半期定例入札に備えて売りを出す中で下落した。
■ 金融翻訳事情 ■
金融・経済レポートは様々な視点からの分析に基づいて執筆されているため、翻訳には幅広い知識が必要とされます。今回は、その中でも「意外と」必要とされる知識について紹介します。
・細かい政治・選挙制度
政治と経済は密接に相関しているため、政治に関する知識が必要とされるのは意外ではないでしょう。とはいえ経済レポートでは、場合によっては自国民にもあまりなじみのないようなかなり細かい政治制度、選挙制度、ひいては政治史に関する話題が頻繁に登場します。米国、欧州主要国についてはインターネットなどで比較的容易に検索できますが、(特に英語圏ではない)新興国などに関しては情報も少なく、若干の予備知識がなければかなり苦労することも少なくありません。
・数学・統計学
経済分析には非常に高度な数学や統計学が用いられており、その手法についての細かい説明がレポート中に記載されることも時々あります。そのため、それらについても大まかに理解しておくと翻訳がスムーズです。用語の特殊性から、同じ単語でも通常とは異なる訳し方をしなければならないこともあります(例:”significant”はいわゆる一般的な文章であれば「重要な」などと訳すことが多いですが、統計に関する文章で”statistically significant”などとなっている場合には「統計的に有意」と訳す必要があります)。
・映画・文学
金融・経済レポートは堅苦しく思われがちですが、筆者によってはユーモアのある表現が散りばめられていることもあり、「堅い」文章よりかえって訳しにくいことがあります。そうした文章には映画や文学作品の有名なセリフやタイトルをもじった表現が使われる場合も少なくなく、あらかじめそうした作品を知らなければ太刀打ちできないようなこともしばしばあります。
実際のところ、翻訳者は実務経験とともに苦労しながら「自然と」こうした知識を身に付けているようです。数学・統計学については入門書などである程度体系的に学習することができるとはいえ、今回挙げた分野に関する知識をあらかじめ完璧に身に付けるのは不可能に近いかもしれません。しかしまったく理解できない表現に出くわした際には、今回の記事を「ひょっとしてこの文章はあの分野に関係しているものかも・・・」と推測するための参考にしていただければ幸いです。 |