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■ 特別企画「トライアル応募者の実像」
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■ 特別企画「トライアル応募者の実像」 ■
グローバル・トゥー・ジェイでは一人でも多くの優秀な金融・経済翻訳者を獲得できるようトライアルを定期的に実施し、毎回多数の方々にご応募いただいています。2000年の設立以来、実に多くの応募書類に目を通してきましたが、内容を改めて拝見すると、いろいろなタイプの方が翻訳者を目指されていることに驚かされました。今号ではトライアル参加者の応募書類の内容を分析し、その実像に迫ります。
男女比率と年齢層
まず、男女比率を調べてみたところ、男性が51%、女性が49%という結果が得られました。また、年齢については、下は20代前半から、上は70代前半までと、実に幅広い年齢層の方々がトライアルに挑戦しているように、性別や年齢に関して特に目立った傾向は見られないようです。年齢が高くなればなるほど仕事を獲得できるチャンスが減るのではと心配される方もいるようですが、そうした懸念は無用でしょう。実際、当社には退職後の第二のキャリアとして翻訳の仕事をしている登録翻訳者もかなりいますので、年齢は気にせず積極的にトライアルに挑戦していただきたいと思います。
海外在住者の割合
国内在住者:81%
海外在住者:19%
上記の結果の通り、海外在住者の割合は2割近くに上ることが分かりました。海外在住者による応募は年々増えており、特に英国や米国にお住まいの方が目立っています。当社の翻訳講座を受講している方から「海外にいると翻訳の仕事は受注しにくいのか」などといった問い合わせをよくいただきますが、そのようなことはありません。むしろ、時差を利用して日本時間の深夜に作業できるところは有利といえるでしょう。
英日訳または日英訳トライアル希望者の割合
英日訳(86%)
日英訳(8%)
英日訳、日英訳の両方(6%)
それでは、英日訳と日英訳のトライアルを希望する割合はどうでしょうか。上記の結果の通り、8割以上の方が英日訳のトライアルを希望していることが分かりました。日英訳のトライアルに応募される日本人の方も若干いますが、英語を母国語とする方、または完全なバイリンガルでない限り、完成度の高い英文に仕上げるのは難しいでしょう。金融・経済分野では英日訳だけでなく日英訳の需要もかなりあり、今後も増えていくものと思われます。その点では日英訳にも挑戦する意味は大いにあるでしょうが、日本人であればまずは母国語である日本語に訳す方に力を入れると効率的かと思われます。
翻訳学習に活用している媒体
1位:日経新聞(32%)
2位:フィナンシャル・タイムズ(19%)
3位:外資系金融機関の調査レポート(16%)
4位:The Economist(11%)
翻訳学習に役立てている媒体を調べてみたところ、最も多かったのは日経新聞、続いてフィナンシャル・タイムズでした。この分野専門の翻訳者を目指すのであれば、この2紙は必ず目を通しておくべき媒体といっても過言ではありません。また、外資系金融機関がサイト上で公開している調査レポートを挙げられた方も少なくありませんでした。ほかにはウォールストリート・ジャーナル、ビジネスウィークなどがよく読まれているようです。Nikkei Net、FT.comなどをはじめ上記媒体のインターネット版も活用するとよいでしょう。
志望動機
次に、志望動機を分析したところ、以下のような結果が得られました。
1位:金融・経済分野専門の翻訳会社として定評がある会社に登録したい(41%)
2位:金融機関での実務経験を生かしたい(23%)
3位:未経験者でもトライアルに挑戦できる(17%)
4位:語学を生かしたい(14%)
上記のように、金融・経済分野専門の翻訳者になりたいと考える方が最も多いことが分かりました。「できる翻訳者」として長く活躍するためにはやはり、一つの分野を極めることが何よりも重要です。実際、当社で活躍している登録翻訳者のほとんどがこの分野にしぼって仕事をしています。ベテランの翻訳者でさえ「金融・経済分野では常に新しい理論や用語が出てくるので、日々の勉強は欠かせない」と言っているように、質の高い仕事をするためには学習や調べ物にそれなりの時間を費やさなければなりません。あれもこれも手広く手掛けるよりは、一つの分野に力を入れて専門性を高めたほうがよい結果につながるでしょう。次に目立ったのは「実務経験を生かしたい」という理由です。アナリストやトレーダーとしての経験を生かしたいなどのコメントが見られました。また、「翻訳経験○年以上とする翻訳会社が多い中、未経験者でも訳文を重視してもらえることからトライアルを決意した」、「留学を通じて身につけた知識と語学力を生かしたい」という理由も目立ちました。
翻訳経験の有無
最後に、翻訳経験について以下のカテゴリー別に分けてみたところ、興味深い結果が得られました。
翻訳未経験者:45%
翻訳学習の経験者
・金融分野:15%
・他分野:29%
翻訳業務の経験者
・金融分野:2%
・他分野:9%
翻訳未経験者が4割以上を占めるのは、当社が応募条件として翻訳経験の有無を問わないからでしょう。当社が経験よりも訳文の質を重視するのには理由があります。今まで、翻訳の仕事をした経験はなくとも翻訳学習をされてきた方が、翻訳業務に携わったことのある方を実力面で上回っていることが多々あったからです。質の高い翻訳をするのに翻訳業務の経験は必須ではなく、むしろ翻訳という特殊技術を基礎から学習し、きちんと身につけていることが重要といえるでしょう。
トライアルでチャンスをつかむためには
以上のように、当社は経験と訳文の質が必ずしも一致しないという考えから、あえて経験は問わない方針を取っています。しかし、実力が十分でない段階でトライアルに応募し続けても合格するチャンスは極めて低いでしょう。年間の応募者数は何百人にも上るものの合格率はわずか1%程度であり、そう簡単に合格できないのが現実です。この狭き門をくぐり抜けるためにはまず一定の期間を設け、集中的に翻訳学習に取り組む必要があります。また、学習をするにしても自己流で進めるのではなく優秀な指導者につき、自分では気づきにくい癖や欠点などを指摘してもらい、この分野の翻訳の重要ポイントを素直に吸収していくのがよいでしょう。これらのことを実践すれば、実力は必ず向上するはずです。単に実務経験と語学力を生かしたいというだけで成功するのは難しい職業ですが、翻訳こそ天職と思われる方は諦めずに頑張ってください。
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当社ウェブサイトに「金融・経済翻訳リンク集」を掲載しました。実務や学習に役立つサイトを集めましたので、ぜひアクセスしてみてください。
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