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global2j通信 ~VOL.187~ 2025年9月号

■ 今月のキーワード ■

【melt-up】メルトアップ(相場の急騰)

特定の出来事をきっかけに投資家心理が悲観から楽観に転じ、市場(特に株式市場)が想定外に急騰する現象を指します。メルトダウン(相場の急落)の対義語として、定着しつつある用語です。

(例文)

Recent study shows that the final melt-up of the ’90s was catalysed by the Fed cutting rates in late 1998.

(訳例)

最近の研究は、1990年代の最後のメルトアップ(相場の急騰)が米連邦準備理事会(FRB)による1998年終盤の利下げによって引き起こされたことを示している。

■ 金融翻訳事情 ■

【校正ツールと検索機能を併用して訳文の確認作業を効率良く進めよう】

翻訳の仕事では訳文の見直しが欠かせません。原文と照らし合わせながら解釈ミス、誤字脱字、数字の誤り、不自然な文章表現などがないか、目視で入念に確認していくのが基本です。

そうした根気のいる見直しをする際には、便利なサポートツールも使えます。例えば、Wordの「スペルチェックと文章校正」ツールは単純ミスを瞬時にあぶり出せるため、訳文の分量が多くてもチェック作業が効率的に進められ、推敲などの手間のかかる作業により多くの時間が割けます。

また、文章の改善には「検索機能」ツールも役立ちます。弊社のベテランエディターによると、「検索機能」ツールは文中や文末に似たような表現が繰り返し使われていないか細かくチェックする際に有効だそうです。金融翻訳の場合、アナリストやエコノミストが執筆する調査レポートなどでは経済や市場で生じている事象の理由や将来の見通しが取り上げられることが多いため、英文を訳す際に「~ため」、「~みられる、~予想される」といった表現を多用しがちです。原文に忠実に訳すのは翻訳の大原則ですが、同じ言い回しが文書内に何度も出てくると、原文の解釈は間違っていなくともリズムを欠いた単調な文章になってしまいます。限られた時間の中で完成度の高い訳文を仕上げるためにも検索機能を活用し、同じ表現が何度も使われていれば言い換えるなどしてブラッシュアップを心がけると良いとのことでした。

訳文の最終的な品質管理には人間のチェック能力が欠かせませんが、その際には上記に挙げたツールも使うと効率的な訳文の見直し作業が可能になりますので、是非試してみてください。

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