■ 金融翻訳事情 ■
【翻訳者Uさんへのインタビュー後編】
今月は翻訳者Uさんへのインタビュー後編です。生活スタイルや今後の目標など、日頃なかなか聞くことができない翻訳者の「素顔」に迫ります。
◆一日のスケジュール
―お仕事がある日の一日のスケジュールを大まかに教えてください。
レギュラーで担当しているマクロ経済レポートの仕事日には、朝10時頃から、昼食をはさんで夕方頃まで作業します。分量が多いときには、夜間に作業を再開することもあります。
―休日は決めていらっしゃいますか?
週に1~2日はパソコンから離れ、1日中お休みとしています。
―神経を使うお仕事なので、リフレッシュも大切ですよね。休日の過ごし方や気分転換のためのリラックス法などがあれば教えてください。
休日はどちらかといえば外出することが多いです。図書館で雑誌や本を読んで過ごしたり。また、いろいろなお店を歩いて見て回ると、それだけで気分転換になり、運動不足の解消にもなっています。
◆性格と得意分野・苦手分野
―翻訳者に向いているのは、どんな性格の方だと思われますか。また、ご自身はどんな性格だと思われますか。
調べ物など地道な作業が必要なので、こつこつ型の人が適しているのではないでしょうか。私自身はマイペースで、気が長い性格だと思います。その点は翻訳者に向いていると思いたいのですが。
―様々な案件を手がけられる中で、特に自信のある分野があれば教えてください。
お仕事を始めた当初から担当しているマクロ経済レポートは、自信があるわけではありませんが、担当期間が長い分、比較的スムーズに作業することができています。回を重ねると筆者の癖に慣れてきますし、過去の内容が繰り返されることも多いからだと思います。
―フィードバックを利用した復習の成果が表れているのですね。やはり、地道な努力が苦にならない、ご自身の長所を生かしていらっしゃいますね。では、苦手な分野はありますか。
分野にかかわらず、単発の案件はなかなかうまくこなせません。依頼された案件はどんなものでも一定の質に仕上げる力量を備えねばとは思うのですが。
―単発の案件だと、学習効果がすぐに発揮できない場合もありますからね。やはり、どの方も苦労されているようです。
◆在宅のメリットとデメリット
―在宅で仕事をする上でのメリット・デメリットは何だと思いますか。
メリットは、ある程度自由にスケジュールを立てられることだと思います。例えば、急な用事ができても、日中にそれを済ませ、夜間に翻訳作業をすることができます。デメリットと思う点は特にありませんが、自宅で長い時間パソコンに向かう仕事ですので、運動不足になりやすいことぐらいです。
―確かに、翻訳のお仕事は何かと運動不足になりがちですよね。私も耳が痛いです。
◆成長した点と今後の目標
―翻訳者として、当初より成長したと思える点を教えてください。
日本語に対する意識が変わったことです。例えば、limitの訳語には「抑制する」、「制限する」、「限定する」などがありますが、以前はこれらの日本語を目にしても、その意味の違いを意識することなどありませんでした。原文にlimitが出てきたとき、深く考えずに訳語を選択したところ、完成版で修正されていました。でも、国語辞書でこの3つの意味を何度調べても違いがよく理解できません。しかし、多くの翻訳案件に取り組むうち、感覚的に「そうか」とわかった瞬間があり、そのときは嬉しくなりました。
―実践を重ねられて、着実に実力をつけていらっしゃるようですね、では最後に、今後の目標と読者の皆様へのアドバイスを伺えますか。
当面の目標は、訳文を常に一定の質に仕上げられる翻訳力を身につけることです。皆さんへのアドバイスとして、日頃からワードやエクセルの操作マニュアルを読み、慣れておくことをおすすめします。分からないことがあったときでも落ち着いて対処できるためです。私は、書式設定・文字入力操作の習得不足から慌ててしまい、大幅に時間をロスしてしまったという苦い経験があります。また翻訳に関する様々な情報を活用することも重要です。翻訳雑誌、翻訳情報サイト、翻訳会社・スクールのホームページからは、翻訳に役立つウェブサイト、リサーチの仕方、トライアルを受ける際の注意点など、参考になる情報を入手できます。これらの媒体を利用して十分に情報を集め、予備知識を得ておくことも有益だと思います。
―ご協力いただきまして誠にありがとうございました。今後のご活躍に期待しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
いかがでしたでしょうか? Uさんのお話を参考に、根気よく翻訳学習に励みましょう!