■ 今月のキーワード ■
【systemic risk】システミック・リスク
個別の金融機関の支払い不能などの問題や、特定の市場、決済システムなどの機能不全が、他の金融機関や市場、または金融システム全体に波及するリスクのこと。
(例文)
The central bank tried to avoid systemic risk by lowering the interest rate.
(訳例)
中央銀行は金利を引き下げることによってシステミック・リスクを回避しようとした。
■ 金融翻訳事情 ■
【経済指標】
金融・経済分野の翻訳をするにあたって欠かせないのが経済指標です。経済指標とは景気や経済に関連した指標のことで、金融市場などにも大きな影響を与えることが少なくないため、投資家の注目度が高くレポートにも頻出します。理解が不十分なために誤訳をしてしまうと顧客に大きな損害を与えかねないため、特に注意が必要です。ここで、調査レポートで取り上げられることの多い米国の経済指標のうち、特に重要と思われるものについてご紹介します。
●Producer Price Index(PPI)「生産者物価指数」
物価を表す指数の一つで、生産者の出荷時点での価格の変動を示す。
●Consumer Price Index(CPI)「消費者物価指数」
消費者によって購入された商品やサービスの価格の変化を指数化したもの。
●Personal Consumption Expenditure (PCE)「個人消費支出」
消費者の支出動向を測る重要なデータ。米国では個人消費が国内総生産(GDP)の約7割を占めるため、注目度が高い。
●Retail Sales「小売売上高」
小売業の売上高を合計したもので、消費動向をみる上で重要なデータ。
●Industrial Production Index「鉱工業生産指数」
製造業、鉱業、公益事業の生産を指数化したもの。生産動向を測る上で重要視されている。事業所調査によって、非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された、農業以外の産業で働く労働者の増減を数値化したもの。米国の景気状況を知る上で、最も注目されている指標の一つ。
●Employment Cost Index(ECI)「労働コスト指数」
企業が従業員に支払う賃金、賞与および福利厚生費の変化を測定するもの。
●Manufacturing ISM Report on Business「ISM製造業景況感指数」
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する、企業マインドを示す代表的な指標。非製造業に関しては、Non Manufacturing ISM Report on Business「ISM非製造業景況感指数」がある。
●The Federal Reserve Bank of Philadelphia Business Outlook Survey「フィラデルフィア連銀製造業景況指数」
フィラデルフィア連銀が発表するフィラデルフィア地区の製造業の景況感を示す指標。新規受注、仕入れ価格、販売価格などの各項目について1ヵ月前と比較した現状と6ヵ月後に関する期待を、「良い」「同じ」「悪い」の中から選択させ指数化したもの。
●University of Michigan survey「ミシガン大学消費者信頼感指数」
ミシガン大学のサーベイ・リサーチセンターが実施するアンケートから消費者のセンチメントを指数化したもの。
●Conference Board Consumer Confidence Index「コンファレンス・ボード消費者信頼感指数」
民間調査機関であるコンファレンス・ボードが毎月下旬に発表する消費者信頼感指数。訳語はあくまで参考です。詳しい内容について興味のある方はインターネット検索などで調べてみましょう。