■ 今月のキーワード ■
【run on banks】銀行の取り付け騒ぎ
信用不安などから特定の金融機関に預金者が預金を引き出そうと殺到し、混乱をきたすこと。
(例文)
In the midst of the credit crisis, the government fears run on banks.
(訳例)
信用危機の最中で、政府は銀行取り付け騒ぎを恐れている。
■ 金融翻訳事情 ■
【最近の金融翻訳業界の動向】
最近、当社の通信翻訳講座に興味のある方々から「金融危機の影響で翻訳需要に何らかの変化はあるのでしょうか」などといった問い合わせをいただくようになりました。そこで、過去半年間を振り返ってみると、当社の翻訳案件の受注量はやや減少傾向にあることがわかりました。ただし、翻訳業界の端々から耳にする情報によれば、そうした状況は何もこの分野に限らないようです。
たしかに、金融翻訳を取り巻く環境は決して良いとは言えませんが、業界全体が極端な悪影響を受けているわけではありません。思い起こせば当社の場合、今まではスケジュールが常に詰まっていることが多く、仕事の依頼が集中するとどうしても引き受けられない案件がいくつもありました。お客様のご依頼を辞退せざるを得ないことが度重なった時は非常に心苦しく感じたものです。殺人的とも言える過密スケジュールで現場が手一杯になる時期が当たり前のように続いていましたが、今はキャパシティに若干の余裕ができたおかげで仕事の取りこぼしが少なくなり、無理のないスケジュールで一つひとつの仕事をこなせるようになっています。
今後もしばらくは翻訳業界にとって厳しい状況が続くと思われますが、そういう時にこそやるべきことをやり、お客様のご要望に応えられるよう万全の態勢を整えておくことが重要です。厳しい時こそ、いつも以上に真の実力が問われる。金融危機をきっかけに、大切なことを改めて実感させられました。