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global2j通信~VOL.47~ 2008年3月号

■ 今月のキーワード ■

【low(s)】最安値、最低水準、安値、底

経済指標や相場などに関してよく使われる単語です。主語や文脈に応じて適切な訳語を選択しましょう。反対語はhigh(s)。

(例文)
US equities are up 3.0% from their January lows.

(訳例)
米国株は1月の安値から3.0%上昇している。

■ 金融翻訳事情 ■

金融翻訳者になるためにすべきこと(3)

【英語の小説・雑誌の読み方】

金融分野で最も翻訳需要が多いのは、外資系証券会社のエコノミストなどが書く投資家向け調査レポートです。こうしたレポートは小説などに比べると比較的平易な文章で構成されていることが多く、読みやすいものが大半ですが、一方でいかにも「英語らしい」表現が含まれている文章も少なくありません。その理由として、筆者は対象読者である投資家に自身のレポートをいかに興味深く読んでもらえるかを念頭に置きながら書いており、独自の視点や論法、文章表現などに凝ることがあるためです。

例を一つ挙げましょう。当社の若手翻訳者Bさんが調査レポートを翻訳していた時のことです。文中に「… just what the doctor ordered」という表現が出てきました。Bさんは散々悩んだ末、これを文字通りに訳しましたが、最終的にはエディターに誤訳を指摘され、その時初めてこの表現が慣用句の一つであることを知ったそうです。

では、そうした英語らしい表現に慣れるにはどうしたいいのでしょうか。色々な方法があると思いますが、英語の小説や雑誌などの比較的砕けた文章表現が含まれるものを読むと効果的なようです。Bさんは時間を見つけて英語の小説などをできるだけ読むようにしているそうですが、一つアドバイスがあるとのこと。「どんな小説や雑誌でもそれなりの学習効果はあると思いますが、個性的な文章表現があまりに多いものから手をつけると、かえって疲れてしまうかもしれません。まずは比較的きれいな文章で書かれたものから読んでいったほうがいいですね」とのことでした。

以上のように、金融翻訳といっても平易で硬い文章ばかりではありません。全般的な英文読解力を向上させるためには、色々なタイプの英文に触れてみるのが重要です。ただ、金融分野に関係した新聞や雑誌を日々読みこなすのでさえ生易しいことではない中、英語の小説や雑誌にまで読書範囲を広げてしまうと大変かもしれません。無数にある英語表現を短期間で記憶しようと意気込みすぎず、色々な文章に触れていくつもりで少しずつ取り組んでみましょう。いずれきっと、翻訳に役立つはずです。

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