■ 今月のキーワード ■
【portfolio flows】証券投資フロー
金融翻訳ではportfolioは通常「ポートフォリオ」と訳しますが、上記のportfolio flowsやportfolio investmentといった表現では「証券(投資)」とするのが一般的です。
(例文)
Portfolio flows to emerging markets have been very volatile in recent months.
(訳例)
新興国市場への証券投資フローはここ数ヵ月極めて不安定になっている。
■ 金融翻訳事情 ■
【紙の辞書、オンライン辞書のそれぞれの良さ】
皆さんは単語の意味や用法を調べる時、紙の辞書とデジタル化された辞書のどちらをよく使っていますか?最近ではパソコン、スマートフォン、タブレットなどのデジタル機器で調べものをする人が大半なのではないでしょうか。
翻訳の現場では訳文の品質だけでなくスピードも重視されるため、調べたい単語を入力すればその意味や使い方がピンポイントで素早く表示されるオンライン辞書が重宝されています。特に、有料版のものは記録されている情報量が豊富でお勧めです。また、ベテラン翻訳者の話では、オンライン版英和辞典はもちろんのこと、場合によっては英英辞典もよく参照しているそうです。調べたい単語の用法やニュアンスをより正確に掴むうえでは英英辞典の方が単語の意味を細かくかみ砕いて説明しており、役に立つことも多いとのこと
でした。
確かに、単語をピンポイント表示する速さと情報量の多さの二点においてオンライン辞書が優れているのは言うまでもありません。ただし、時間の許す限り紙の辞書を併用することも翻訳の学習をするうえで大いに役立つことがあります。調べたい単語を一文字ずつ目視で確認しながらページを順にめくり、目的の単語の語義や用例はもちろんのこと、その周りにある情報にも触れることでその単語に関連する内容がより強く記憶に残りやすくなり、結果として知識の拡充につながるメリットがあると考えられるためです。多少遠回りをしてでもそうした手間は時として必要であり、翻訳力を向上させるうえで大切な作業の一部と言っても過言ではありません。
ご参考までに、紙の辞書、オンライン辞書のそれぞれの良さを以下にまとめました。
紙の辞書
- 調べたい単語の綴りを一文字ずつ確認しながらページを順にたどっていくことで、正確な綴りを覚えやすい
- あえて時間をかけて調べることで、単語に関する情報が脳により記憶されやすい
- 調べたい単語とは直接関係のない情報も閲覧できてしまうため道草しやすいが、幅広い知識が身に付けられることもある
- デジタル機器を持っていない場合、または電源や充電がない場合でも使える
- 無料版の簡易オンライン辞書よりも参考になる用例が豊富
オンライン版辞書
- 調べたい単語を入力し、素早く検索できる
- 単語の綴りを途中まで入力すると、予測機能によって目的の単語がすぐに表示されるものもある
- 検索結果がピンポイントで表示されるため、必要な情報のみ閲覧できる
- 音声機能で発音が耳で確認できる
- 定期的に更新されるため、内容が常に最新
いかがでしたか。紙の辞書とデジタル辞書にはそれぞれ優れた点があります。必要に応じて使い分ければきっと翻訳の学習に役立つでしょう。今年も当メールマガジンをお読みいただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。どうぞ良いお年をお迎ください。