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global2j通信~VOL.171~ 2021年9月号

■ 今月のキーワード ■

【dependency ratio】従属人口指数、従属人口比率

従属人口とは、若年人口(15歳未満)と高齢者人口(65歳以上)の総数で、これを生産年齢人口(15~64歳)で割り、100を掛けたものが従属人口指数(比率)です。

(例文)
The historically low dependency ratio has been extremely beneficial for China’s unprecedented economic growth.

(訳例)
歴史的に低い従属人口比率は、中国の前例のない経済成長にとって極めて大きなプラスとなってきた。

■ 金融翻訳事情 ■

今回は弊社の翻訳コーディネーターが最近の翻訳需要と翻訳者に求められる能力についてお話しします。

数年前までは、需要の中心は外資系証券会社から依頼されるマクロ経済関連や、株式、債券、為替といった伝統的資産に関する機関投資家向け調査レポートの翻訳でしたが、最近は外資系資産運用会社からの翻訳案件がかなりの割合を占めるようになりました。具体的にはヘッジファンド、不動産投資、プライベートエクイティ、プライベートデット、保険リンク証券などといったオルタナティブ投資に関する運用報告書や、環境・社会・ガバナンス(ESG)投資に関する文書などの英日訳案件が圧倒的に増えています。

例えば、オルタナティブ投資の分野では新たな金融商品が次々と生まれており、その運用の仕組みが複雑なものも少なくありません。そのため、翻訳者としては、普段からアンテナを張り、こうした商品に関する情報収集をしておくことが重要になってきます。翻訳会社から仕事を依頼された段階で翻訳対象文書の内容について分からないことが多すぎると、リサーチに割く時間が増えてしまい、訳文の推敲や最終的な見直しにまで十分に手が回らなくなってしまうためです。弊社のベテラン翻訳者やエディターは日々、国内外の経済紙(誌)など様々な情報源を通じて全般的な経済・市場動向を把握すると同時に、新しいタイプの金融商品に関するニュースも注視し、いつどのような翻訳案件が発生しても効率良く作業が進められるよう心掛けているそうです。

先に挙げたマクロ経済や伝統的な資産に関する機関投資家向け調査レポートは一般に、基本的な金融・経済知識が備わっている翻訳者であれば比較的取り組みやすいものですが、オルタナティブ投資関連の翻訳は新しく複雑な商品を正確に理解する能力が必要とされるため、対応可能な翻訳者も限られてきます。したがって、金融知識の絶え間ないアップデートが求められる分野の翻訳もしっかりこなせるよう日頃からの勉強を怠らないことが、金融翻訳者として長く活躍するうえで今後ますます重要になってくると言えるでしょう。

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