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global2j通信~VOL.167~ 2020年9月号

■ 今月のキーワード ■

【UST】米国債

USTはThe United States Treasury(米財務省)の略ですが、金融・経済関連の調査レポートなどでは米財務省が発行する米国の財務省証券(米国債)の意味で使われることが一般的です。

(例文)
The UST market put in a strong performance in the US morning.

(訳例)
米国債市場は米国時間の午前中に力強いパフォーマンスを見せた。

■ 金融翻訳事情 ■

今回は弊社の翻訳コーディネーターが、フリーランス翻訳者が安定した収入を確保するうえで重要と思われる2つのポイントについてお話しします。

○専門分野を絞る

「実務翻訳」といっても分野は幅広く、弊社が専門としている金融・経済をはじめ、IT、特許、機械、医療など多岐にわたります。ほとんどの翻訳会社はどんな分野でも対応可能であることをアピールポイントにしており、またフリーランス翻訳者の中には「翻訳の守備範囲を広げておけば、色々な仕事を獲得できるチャンスが生まれるはず」と考える方も少なくないようです。

確かに、対応可能な分野が多ければ仕事の幅は広がるという考え方もあるかもしれません。しかし、毎回異なる分野の翻訳を手広く引き受けたとして、質の高い翻訳はできるでしょうか。弊社のベテラン翻訳者やエディターの仕事ぶりを見ていると、クオリティの高い仕事をするには専門知識の習得やリサーチにそれなりの時間をかけ、翻訳対象文書の内容を深く理解する努力をしています。また、金融・経済分野一つとっても、いつも同じ内容の仕事ばかりではありません。マクロ経済、債券、株式、為替、投資戦略に関する調査レポートもあれば、目論見書、金融商品のプレゼンテーション資料などもあります。例えば弊社では、金融・経済分野であればどんなものでも一定水準以上の訳文に仕上げられる力のある翻訳者に積極的に発注したいと考えています。

○受注先は複数確保しておく

分野を絞るほかには、当たり前のことかもしれませんが、一定の分量の翻訳を定期的に発注してくれる翻訳会社を複数確保しておくことも重要です。できれば最低3社とのつながりは作っておいた方が安全でしょう。さらに、そうした会社以外から単発で頼まれた仕事もできるだけ断らずにお引き受けする工夫をすることも大切です。収入のことを考えると、まとまった分量の翻訳を依頼してくれるところの仕事を優先しがちですが、その会社が万が一、翻訳の発注を突然控えるようになった場合、ほかの受注先が確保できていなければ収入が途絶えてしまいます。そうしたリスクを回避するためには、いつも発注してくれる翻訳会社からの仕事を時には上手にセーブしてでも時々声をかけてくれる会社からの仕事も快く引き受け、常に複数の依頼主との良好な関係を維持しておくことが欠かせません。

いかがでしたか。フリーランスという職種柄、リスクをゼロにすることは難しいでしょうが、専門分野は絞り、受注先は複数確保しておくことこそ、これからの翻訳業界で生き残っていくうえで重要と言えるでしょう。

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