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global2j通信~VOL.137~ 2015年9月号

■ 今月のキーワード ■

【dis-anchor】不安定化させる

中銀関係者のインフレ期待などに関するコメントでよく使われる表現です。動詞のanchorに接頭辞のdisを付けたもので、disanchorと表記されることもあります。

(例文)
Very low inflation could dis-anchor long-term inflation expectations.

(訳例)
非常に低いインフレ率は長期インフレ期待を不安定化させる可能性がある。

■ 金融翻訳事情 ■

【新聞の読み方講座10】

実際の新聞記事を元に、読み方のポイントをお伝えします。

9月1日付日経新聞朝刊より抜粋
「ユーロ圏、物価上昇を維持」
欧州連合(EU)統計局が31日発表した8月のユーロ圏の消費者物価指数(速報値)は前年同月に比べて0.2%上昇し、4ヵ月連続で前年の水準を上回った。原油安の影響でエネルギー価格の下落幅が拡大したものの、物価上昇率は7月から横ばいを維持した。市場の事前予想の平均(0.1%上昇)をやや上回る結果となった。内訳をみると、原油安を受けてエネルギー価格指数が前年同月比7.1%低下。7月(5.6%)から下落幅が拡大し、物価全体の上昇を抑えた。原油安にもかかわらず、物価上昇ペースは鈍らず、横ばいを維持した。域内の緩やかな景気回復を背景に、エネルギー以外の物価は幅広く上昇したためだ。
(中略)
物価動向の基調を判断するうえで重視される「エネルギーと食品、酒・たばこを除く指数」をみると、8月は前年同月比1.0%上昇。1年3ヵ月ぶりに同指数の上昇率が1%台に達した7月から横ばいを維持。デフレ懸念がひとまず後退していることを映した。

☆用語に注目
・「ユーロ圏の消費者物価指数(速報値)」
「ユーロ圏の消費者物価指数」とある場合、EU統計局発表のHarmonised Index of Consumer Prices(「ユーロ圏統合消費者物価指数(HICP)」)を指すのが一般的です。この指数には速報値と改定値があり、それぞれ月に1回発表されます。ちなみに、米国についての記事で「消費者物価指数」とある場合には、米労働省が発表するConsumer Price Index「消費者物価指数(CPI)」を指すのが一般的です。

・「エネルギーと食品、酒・たばこを除く指数」
調査レポートなどでは「コア指数」とされることが多いようです。消費者物価指数の「コア指数」の定義は国・地域によって違い、欧州では記事の通りエネルギーと食品、酒・たばこを除く指数、米国では食品とエネルギーを除く指数、日本では生鮮食品を除く指数とされます。

☆言葉の呼応に注目
・「エネルギー価格の下落」、「エネルギー価格指数が前年同月比7.1%低下」同じ「下がる」という意味であっても、物価や価格については「下落」、指数や比率、利回りなどについては「低下」という表現を使うことに注意しましょう。

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