■ 今月のキーワード ■
【unemployment gap】失業率ギャップ
実際の失業率と自然失業率の差のことで、労働市場の需給を示す指標です。米国では議会予算局(CBO)が自然失業率の推定値を定期的に発表しています。
(例文)
The unemployment gap is likely to have narrowed slightly in Q1.
(訳例)
失業率ギャップは1-3月期にやや縮小した可能性が高い。
■ 金融翻訳事情 ■
【金融・経済翻訳に必要なバックグラウンド】
当社の翻訳講座の受講生の方などから、「金融・経済分野の翻訳者になるには、金融機関での勤務経験が必要ですか」というご質問を受けることがあります。金融機関での実務経験は、確かに様々な意味で役に立つこともあるでしょう。ただし、それが必要不可欠というわけではありません。実際に、global2jで活躍している翻訳者も全員がそうしたバックグラウンドを持っているわけではないようです。さらに言えば、翻訳者としてデビューした時点で、金融・経済に関する高度な知識を持っていた方ばかりでもありません。
では、金融機関での実務経験や高度な専門知識をあらかじめ持っていない翻訳者は、どのようにして翻訳に取り組んでいるのでしょうか。そこで重要になるのが、リサーチ力です。金融・経済は非常に動きの激しい分野であり、新しい政策や金融商品、投資戦略などが日々生み出されています。また、それに伴い新たな用語も続々と登場しています。したがって、いくらあらかじめ専門的な知識を持っていたとしても、リサーチ力を磨いて常に知識を更新し続けなければ、この分野の翻訳に対応することはできません。つまり、過去に持っていた知識に頼るだけでは、金融・経済分野の翻訳者として活躍することはできないのです。逆に言えば、一定の基礎的な知識を身に付けた上でリサーチ力を磨いていけば、もともと高度な専門知識を持っていなくとも、不足した知識を徹底したリサーチで常に補うことができます。そのため、金融・経済に関する知識という面では、バックグラウンドやあらかじめの高度な専門知識は必ずしも必要ではないと言えるでしょう。
ただし、高度なリサーチ力を身に付けるための最低限の基礎知識(新聞やインターネット、入門書などで得られる知識)が必要であることは言うまでもありません。もっとも、こうした知識はバックグラウンドを問わずあらかじめ身に付けることができます。したがって、金融機関での実務経験がないからと言ってはじめから金融・経済翻訳者になることをあきらめてしまう必要はないと言えるでしょう。