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global2j通信~VOL.110~ 2013年6月号

■ 今月のキーワード ■

【capacity utilization】設備稼働率

生産能力に対する実際の生産量の比率であり、設備投資やインフレ率の先行指標と考えられています。

(例文)
Capacity utilization in the United States decreased to 77.61 percent in May.

(訳例)
米国の設備稼働率は5月に77.61%に低下した。

■ 金融翻訳事情 ■

今回も「最新金融レポート演習」という教材のご紹介です。「最新金融レポート演習」とはglobal2jの「最新金融翻訳講座(A、B、Cコース)*」の主教材、「金融・経済翻訳総合講座**」の付録教材として作成されているものです。前回は教材の特徴についてお話ししましたが、今回はその活用法をご紹介します。

<実際の教材から一部抜粋>

説明だけではなかなかイメージしづらいと思いますので、実際の教材の一部(2013年3月分)を掲載します。こちらをご参照いただきながら後の記事をご覧になってみて下さい。

○原文
Recent Fed commentary suggests that policymakers are beginning to chafe at the idea of continued, aggressive balance sheet expansion – especially in the second half of 2013 – but to date the economy has yet to show sufficient improvement to put the wheels in motion toward QE modification. A change of policy direction will largely depend on the labor market, and the recent trend in jobless claims is encouraging. The figures for unemployment claims released today are for the February employment survey period. Until a more pronounced improvement is seen in labor conditions, policymakers have the luxury of being able to continue QE against a backdrop of benign inflation.

○訳例
最近の米連邦準備理事会(FRB)関係者の発言は、政策当局が、バランスシートの積極的な拡大を(特に2013年後半にも)継続するという考えに対して苛立ちを感じ始めていることを示唆している。だが、これまでのところ米国経済は、量的緩和の変更に向けて動き出すのに十分なほどの改善を示していない。政策の方向性の変更は主に労働市場に左右されると思われるが、最近の失業保険申請件数のトレンドは心強い。本日発表された失業保険申請件数は、2月の雇用調査期間のものである。労働市場の状況により明確な改善が見られるまで、政策当局には落ち着いたインフレ動向を背景に量的緩和を継続できる余裕がある。

<主な活用方法>

1.まずは訳例を見ないで翻訳

「最新金融翻訳講座Aコース(添削なし)」と「金融・経済翻訳総合講座」の受講生の方に送付している教材は、1)原文のみが記載されたページ、2)原文と訳例が併記されたページの2つで構成されています。まずは1)のページのみを読んで自分で訳文を作成してみて下さい。その際には、入念なリサーチをし、訳文のスタイル・表記といった細かな部分にも気を配るなど、実務を担当している気持ちで真剣に取り組んでみましょう。

2.訳例を確認

自分で納得のいく訳文ができたと思った段階で、訳例を確認します。自分の知らない金融・経済用語などがあった場合は、用語集に追加するとよいでしょう。誤訳してしまったら、なぜそのような間違いをしたかを入念に検討してみて下さい。

3.原文と訳例を照らし合わせ

自分の訳文の修正・確認が終わったら、今度は原文と訳例を照らし合わせながら、全体的な意味をもう一度確認してみましょう。こうすることで、良質の訳文が持つ独特の「リズム感」や「読後感」といった、言葉で説明することの難しい(しかし非常に重要な)要素に気付くことができます。また、翻訳能力の向上のためには、良い訳文を読んで「学ぶ(真似ぶ)」ことが必要です。訳例を暗記するような気持ちで読み込んでみて下さい。

4.もう一度訳例を見ないで翻訳

何度も訳例を読み込んで、少し時間がたったころに、もう一度訳例を見ないで翻訳してみましょう。こうすることで、本当に翻訳力が身に付いているかどうかが分かります。訳例のような訳文を作成できるようになるまで、上記1~4の作業を繰り返してみましょう。何度も学習して理解を深めることで、教材に使用されている翻訳テクニックを自分のものにすることができます。教材を徹底的に活用すれば、独学でも添削に劣らない学習効果が得られるかもしれません。

*最新金融翻訳講座は会員制レポート配信コースと1回コースになりました。
**2025年現在、リニューアル中のため受講いただけません。

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