■ 今月のキーワード ■
【MTM】値洗い
MTMはmark to marketの略。M2Mとされることもあります。値洗いとは、保有するポートフォリオの価値を時価で再評価することです。
(例文)
The MTM loss for the banking sector as a whole is estimated at Rs 145 billion during this quarter.
(訳例)
銀行セクター全体の今四半期の値洗い損は1,450億インド・ルピーと推定される。
■ 金融翻訳事情 ■
【翻訳者が知っておくべき基本的なリスク管理方法】
先日、東北地方の地震で大規模停電が発生し、日頃の危機管理がいかに大切か改めて痛感された方も多かったのではないでしょうか。在宅翻訳の仕事をしていると災害時の停電以外にも、パソコンやアプリケーションの不具合により大事なデータが消えてしまうリスクは少なからずあります。今号では、在宅翻訳者が知っておくべき基本的な危機管理方法をご紹介します。
・記録メディアへのデータ保存
パソコンが急に故障した場合に備え、翻訳対象ファイルや訳文ファイルなどの重要なデータはパソコン内には置かず、USBメモリや外付けハードディスクなどといった記録メディアに保存しておくと良いでしょう。また、翻訳作業中も文章や段落ごとにこまめに上書き保存しておくと安心です。
・オンラインストレージの利用
十年以上前に比べ、オンラインストレージサービスが一般的になっています。パソコンのハードディスクや記録メディアには物理的な寿命があり、保存できるデータ容量にも限りがありますが、オンラインストレージならかなりの量でも長期間の保存が可能です。また、インターネットに接続できる環境が整っていれば、端末を選ばずどこからでも必要なデータにアクセスできる点が便利です。
・タブレットPCなどにもMicrosoft Officeをインストール
Microsoft Officeは1アカウントにつき複数台の端末にインストールできます。予備用のパソコンに加え、タブレットなどのモバイル端末にもアプリ版を入れておけば出先でもデータの編集・閲覧は可能です。また、タブレットに接続できる予備のキーボードがあればバックアップ用PCとしても使えます。
・外付けハードディスクへのバックアップ
大容量の外付けハードディスクにパソコン自体のバックアップファイルを定期的に作成しておけば、急な故障時でもデータを丸ごと復活させることが可能です。
・バックアップ用のノートパソコンを準備
デスクトップパソコンと違い、ノートパソコンはバッテリーで稼働するため、十分に充電した状態を保っておけば非常時でもすぐに使えて重宝します。
・モバイルインターネットルーターの利用
停電になると有線のインターネット回線は途絶えてしまいますが、モバイルインターネットルーターがあればしばらくの間は利用できます。ただし、日頃から充電し、いつでも使えるようにしておくことが重要です。
いかがでしたか。金融翻訳は短納期の仕事が大半のため、パソコンやインターネットが急に使えなくなって翻訳作業が継続できなくなったり、作成した訳文が突然消失してしまったりすると納期に間に合わず、依頼主に多大な迷惑をかけてしまいかねません。そうしたリスクを回避するためにも、日頃から大切なデータを確実に保存できる環境を整え、主力のパソコンが使えなくなった時の代替手段を準備しておきましょう。