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global2j通信〜Vol.14〜 2005年9月号

■ 今月のキーワード ■

【pipeline inflation】
原材料やエネルギーなど川上部門の価格上昇が中間財、最終財へと波及していく過程のこと。例としては、鉄鉱石価格の上昇が鋼板価格の上昇、そして最終的に自動車価格の上昇につながる場合などが挙げられます。訳語はそのままカタカナで「パイプライン・インフ
レ」とするのが一般的です。金融・経済関連の調査レポートでは、pipeline inflation pressures、あるいはinflationを略しpipeline pressuresという表現もよく見られます。

(例文)
The rise in pipeline inflation pressures suggests that it is too early to think that interest rates have peaked.

(訳例)
パイプライン・インフレ圧力の高まりからして、金利がピークを打ったと考えるのは時期尚早だろう。

■ 金融翻訳事情 ■

今回はglobal2jのエディターが、表記やスタイルに関する質問にお答えします。

Q1.「金融翻訳では、表記やスタイルなどに決まりはあるのでしょうか」

一般的な表記やスタイルについては、日経新聞や公的機関などの信頼できるウェブサイトを参考にするとよいでしょう。ただし、顧客によって好みが異なるので、実務では先方の要望を最優先します。例えば、当社では発注の際、顧客またはプロジェクト別にまとめた
「スタイルシート」を翻訳者に配布し、注意事項にしたがって作業を進めてもらうようにしています。

Q2.「言い回しや訳語の選択に、明確な決まりはあるのでしょうか」

言い回しや訳語についても表記と同様、顧客の好みによって使い分けが必要になってきます。例えば、ある金融機関では”we”を「当社」としますが、他社では「弊社」、「われわれ」などとしています。また、訳語に複数の定訳がある場合は、先方が指定する訳語に統一します。”output gap”などは、訳語として「GDPギャップ」を選ぶ会社もあれば、「需給ギャップ」または「アウトプット・ギャップ」とする会社もあるので、顧客の好みに合わせる必要があります。

Q3.「表記やスタイルの指示が特にない場合、どうすればいいのでしょうか」

顧客から特に指示がない場合は、過去のサンプルや先方のウェブサイトを見るなど、好みのスタイルを把握した上で作業に取り掛かります。また、記号やアルファベットの全角・接確認しましょう。金融業界では最新のマーケット情報を少しでも早く提供することが求められるため、翻訳する側は高品質の訳文に仕上げるだけでなく、表記やスタイルの統一、指定された訳語の使用を徹底することも含めて、顧客の見直し作業が短時間で済むような翻訳を提供することが重要です。

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