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global2j通信〜Vol.20〜 2006年3月号

■ 特別企画「金融・経済翻訳講座修了生の今」 ■


「金融・経済翻訳総合講座」は2000年の創設以来、多くの方々に受講していただいてきましたが、金融・経済翻訳の基礎から一通り学んだ受講生のその後が気になるところです。そこで、当社では同講座の修了生にアンケート調査を実施し、近況をうかがってみまし
た。今号では特別企画として「金融・経済翻訳講座修了生の今」をお送りします。

Q1)現在も翻訳学習を続けていますか

はい:83%
いいえ:17%

アンケート調査結果によると、「はい」と回答した方のうち66%が独学、28%が通信講座の受講、6%が翻訳学校に通学、という形で現在も学習を続けていることが分かりました。独学と回答した方に学習方法について聞いてみたところ、「新聞記事や、金融機関の調査レポート、関連書籍を読む」などといった回答が半数以上を占め、「金融・経済翻訳総合
講座」の教材で復習しているという方もたくさんいました。また、すでに翻訳の仕事を始めている方は「登録先の翻訳会社から自分が受注した案件の完成版をいただき、訳文と照らし合わせながら見直している」など、仕事を通じて学習を続けているようです。一方、「いいえ」と回答した方では、「仕事が忙しい」という理由を挙げた方が大半を占めました。また、「家事・育児との両立がむずかしい」と答えた方の数も4分の1以上にのぼるなど、人によっては仕事や家庭の事情により学習時間を確保するのに苦労しているようです。しかしながら、現役の翻訳者で家事・育児をしながら仕事をこなしている方も少なくありません。目標をしっかりと持ち、強い意志で臨めば、学習時間を作り出すことは十分可能でしょう。

Q2)講座で学んだことで、学習や仕事に役立ったことは

講座修了後も何らかの形で学習を継続されている方に、講座で学んだことでその後の学習や仕事に役立ったことについて聞いてみたところ、次のような結果が得られました。

1位:金融・経済翻訳の基本(52%)
2位:業界事情(17%)
3位:用語集の作成(8%)

「金融・経済翻訳の基本」(文章力、金融知識、英文読解力、リサーチ力)が最上位にきていることから、この分野の翻訳が単に「英語ができる」、「実務経験を生かせる」だけでは続かない作業であることが分かります。「今まで翻訳の勉強はしてきたつもりだった
が、この講座を受けて初めて、金融・経済翻訳の『いろは』を知った」という感想を寄せられた方もいました。ほかには「プロの翻訳者の体験談や業界事情などが求職活動の参考になった」、「ビジネスマナーの大切さを改めて知った」など、翻訳テクニックや学習方
法以外で役立った点を挙げた方も少なくありませんでした。

Q3)より詳しく学びたいことは

次に、さらに詳しく学びたいことについて質問したところ、最も多かった回答は「金融理論」(48%)でした。「金融理論は奥が深く、分からないことがまだたくさんある」、「知識不足のせいで誤訳がなかなか減らない。今後はこの点を解消したい」など、知識を
増やすことを重要課題にしている方が目立ちました。続いて多かったのは「金融特有の日本語表現」(36%)です。ある方は「金融独特の言い回しに慣れていないため、訳文がどうしても不自然になってしまう。外資系金融機関のレポートを読むなどして、こなれた文章を書ける力をつけたい」と、今後の意気込みを語ってくれました。金融・経済翻訳で重要なポイントは、正しい金融知識をもとに原文を理解する、こなれた日本語に変換する、の2点です。この2点を意識しながら学習すれば、着実に実力は伸びていくでしょう。

Q4)翻訳の仕事に就いている割合は

それでは、実際に何割程度の修了生が翻訳の仕事を獲得できているのでしょうか。アンケート調査結果によれば、現在翻訳の仕事に就いていると回答した方は全体の約52%に上ることが分かりました。さらに興味深いのは、就業形態の内訳です。

1位:在宅(フルタイム)(67%)
2位:オンサイト(フルタイム)(13%)
3位:オンサイト(パートタイム)(11%)
4位:在宅(パートタイム)(9%)

当社の調査によれば、外資系金融機関などは経営の効率化を図るため、翻訳などの周辺業務は翻訳会社に外注する傾向が強まっているようです。在宅翻訳者が圧倒的に多いのも、このためでしょう。なお、副業で翻訳の仕事をしていると答えた方もわずかにいました
が、当社をはじめ翻訳を依頼する側としては、いつでも依頼できる専業の方に比べて限られた日しか空いていない方には、なかなか仕事を依頼しにくいというのが正直なところです。もちろん、実力がトップクラスであれば話は別ですが、副業は専業以上に仕事を獲得
しにくいというのが実情でしょう。

Q5)今後の目標

最後に、今後の目標について聞いてみました。

1位:専業の金融・経済翻訳者として独立する(41%)
2位:翻訳力を向上させる(24%)
3位:金融知識を深める(17%)
4位:得意分野を見つける(7%)

上記の調査結果のとおり、金融・経済分野専門の翻訳者として早く独立したいと答えた方が圧倒的多数を占めました。また、「誤訳をなくし、質の高い訳文に仕上げられる実力をつけたい」、「今の自分の実力は翻訳会社に登録できるレベルではないので、まずは翻訳力のレベルアップを図りたい」など、翻訳力の向上を第一の目的とする方も多く目立ちました。

翻訳学習に終わりはない

経験豊富なベテラン翻訳者でも、日々の仕事で今まで知らなかった理論や用語に遭遇することが多いといいます。しかし、その都度入念に調べ、不確かな点は自力で解決するなど、実務を通じて多くのことを学んでいるようです。将来的に金融・経済翻訳のプロとし
て独立を目指している方はもちろんですが、すでに翻訳の仕事をしている方も毎日勉強を続け、翻訳力を向上させていくことこそ、この世界で成功するための重要なカギといえるでしょう。

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