メールマガジン

global2j通信〜Vol.19〜 2006年2月号

■ 今月のキーワード ■

【behind the curve】 後手に回っている、ビハインド・ザ・カーブ

中央銀行の金融政策が市場に遅れをとっている状態のこと。最近では、この逆の”ahead of the curve”(「先制的」、「アヘッド・オブ・ザ・カーブ」)という表現も見られます。

(例文)
The central bank is currently behind the curve in raising rates and should be forced to accelerate tightening going forward.

(訳例)
中央銀行は目下、利上げで後手に回っており、今後引き締めを加速せざるを得ないだろう。

■ 金融翻訳事情 ■

【翻訳研修生の一日】

翻訳者の勤務形態は大きく分けて2種類あります。在宅勤務とオンサイト勤務です。今回はオンサイトで働く当社翻訳研修生に一日の仕事の流れを紹介してもらいます。まずは、通勤電車の中で日経新聞をチェック。

午前8時
出社。早速、原文の英語版レポートが入稿。午後遅くの納期に合わせて、担当の翻訳者数名に翻訳を依頼します。数分後には待機していた翻訳者から受領確認のメールが届き、手配は無事終了。

午前8時半
翻訳作業。翌週発表される各国の経済指標とそれに対する予測コメントが入った経済指標カレンダーの翻訳です。正午に納品するため、11時から社内のエディターが訳抜けや誤訳をチェックします。作業時間は2時間半。先週は1時間半しかなかったことを考えると、今日は余裕を持ってエディターに提出できそうです。

午前10時半
人名や役職、会議名の検索に手間取り、提出時間ぎりぎりまで作業を延長することに。

午前11時
調べ切れなかった部分をエディターに申し送り、なんとか終了。コーヒーで一息つき、前日の夜からのメールをチェックします。途中、エディターから訳語について再度検索するよう指示があり、検索作業を再開。検索結果をもとにエディターが訳語を調整し、コー
ディネーターが納品します。

正午
ようやくランチタイム。パスタで元気を回復。

午後1時
社内に戻ってメールを確認。今朝依頼した翻訳者から訳文が届いていました。受領確認のメールを送り、訳文のチェックをエディターに依頼します。

午後1時半
用語集の作成。翻訳で大切なことのひとつに訳語の統一があげられます。そのために欠かせないのがこの用語集。金融翻訳の場合、入稿から納品までの時間が短いため、数人の翻訳者が同時に作業を進めます。このとき人によって訳語が違うとエディターの編集作業が
増え、結果として納品が遅くなってしまうのです。さらに、デイリーレポートやウィークリーレポートといった定期的な案件であれば、同じ用語が繰り返し使われます。その度に翻訳者が適切な訳語を検索するのでは時間の無駄。情報を蓄積、共有することで翻訳の質とスピードをアップさせます。今朝納品した案件の原文とお客様の最終的なレポートを照らし合わせ、必要なら再度検索して用語集に加えていきます。

午後4時
先週納品したクレジット関連のレポートの完成版が手元に届き、エディターからの注意事項を添えて担当した翻訳者にフィードバックします。

午後4時半
クレジットのレポートも用語集に追加します。こちらは難しく後半部分は来週に持ち越すことに。

午後5時半
午前中翻訳した経済指標カレンダーの完成版をメールで受信。早速復習して、来週に備えます。こちらも用語集に追加。

午後6時半
来週の予定を確認してから退社。

翻訳研修生の一日、いかがでしたでしょうか。訳文を納品したらそれで終わりではなく、復習や用語集の作成までが一連の作業なのですね。エディターやコーディネーターと連携して仕事を進めていくこと、そしてエディターやお客様が修正した部分を素直に吸収して
いくことが大切と言えそうです。

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