■ 今月のキーワード ■
【price out】織り込みが後退する、織り込まれなくなる
特定の好材料や悪材料が市場価格に与えていた影響がなくなること。反対語はprice in(織り込む)。
(例文)
The markets are pricing out the Democratic Sweep scenario.
(訳例)
市場では民主党の圧勝シナリオの織り込みが後退しつつある。
■ 金融翻訳事情 ■
【デスクワーク中心の翻訳という仕事~リモートワークの利点と注意点】
新型コロナウイルス感染症が収束する気配が見えない中、現在もリモートワークを続けている方がたくさんいらっしゃるかと思います。今号では週に半分程度、自宅で仕事をしているエディターが在宅勤務の利点と注意点についてお話しします。
在宅勤務の利点はなんといっても、通勤がないことが第一に挙げられるでしょう。毎朝多くの人で混み合う電車やバスに乗らないで済むので身体的、精神的な疲れが軽減でき、移動にかかる時間も節約できます。また、翻訳のようにある程度まとまった時間を使って集中的に作業しなければならない仕事の場合、オフィスにいるとどうしても電話に応答したり、周りにいる人に話しかけられたりして作業を中断せざるを得ないことは多々あるでしょうが、自宅にいればそうしたことがほぼありません。フリーランス翻訳者の場合、通勤の必要がないうえ自分のペースで黙々と仕事をこなせる点こそ最大のメリットとして考えていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。
ただ、在宅勤務ではそうしたわずらわしさが軽減される一方で、自分で意識的に出かける機会を作らない限り外出頻度が減りがちになるのが難しい面でもあります。どこにも行く必要がないのは楽な反面、一日中家に閉じこもったまま体を動かさないとかえって疲れやすくなり、人によっては誰とも会わず口も利かない日々が続くことで孤独感を感じるリスクもあるでしょう。また、オフィスで働くのに比べて「オン」と「オフ」のメリハリがつけにくく、着た切りスズメになったり、昼休み以外にも頻繁に飲み物や食べ物を口にしたりなど、飲食の量が増えがちになります。
デスクワーク中心の方が心身の健康を維持しながら在宅で働き続けるためには最低限の軽い運動やこまめな気分転換が不可欠です。締め切りが迫っている時などでも30分から1時間程度はあえて仕事と無関係のことをして過ごすのも一つの手でしょう。音楽を聴いたり、軽く体を動かしたり、近所を散歩したり、庭の植物に水やりをしたりするのでかまいません。短時間でも仕事の手をいったん止めることで頭の中がリセットされ、その後の作業が効率良くはかどることが少なくないと言えます。当たり前のことかもしれませんが、リモートワークが特別でなくなりつつある今、ワーク・ライフ・バランスは今後より一層大切になってくるのでないでしょうか。
本年も当メールマガジンをお読みいただきありがとうございました。一日も早く平穏な日々を取り戻せることを祈るばかりです。