■ 今月のキーワード ■
【factory】製造業
一般に工場、製造所の意味を持つfactoryという単語は、金融・経済翻訳においては、「製造業」の意味で使われることが少なくありません。例えば、factory sector(製造業、製造業セクター、製造業部門)、 factory activity(製造業活動)、 factory orders(製造業受注)、factory hours(製造業の労働時間)のような表現がよく見られます。
(例文)
The short-term outlook for the factory sector is still bleak.
(訳例)
製造業セクターの短期的な見通しはなお暗い。
■ 金融翻訳事情 ■
【依頼主に指名されるほどの実力をつけることこそ、翻訳者としての成功への近道】今年も残りあとわずかとなりました。年内最後のメールマガジンでは、弊社の翻訳品質の管理体制についてお話しします。
ほとんどの翻訳会社には翻訳者の訳文をチェックする校正者がいます。校正者は誤字脱字、訳抜けなどといった単純ミスの有無や、スタイルが統一されているかを確認するのが仕事で、必ずしも翻訳者並みの能力は求められていないケースが大半です。弊社でも訳文の最終的な見直しは校正者が担当していますが、他社と大きく異なるのは校正前の段階で社内エディターが高レベルの確認作業をしている点です。弊社に常駐するエディターは単なるチェッカーではありません。トップクラスの翻訳力があるのはもちろん、他の翻訳者が仕上げた訳文の良し悪しをさまざまな角度から判断できる能力を持っています。英日訳について言えば、原文と訳文を照らし合わせながら英文の解釈に誤りがないか、自然な日本語表現になっているか、専門知識をもとに適切なリサーチが十分にされているかなどを細かくチェックします。また、大型案件を数人の翻訳者に分配したとしても、一人のエディターがすべての訳文を隅々まで確認するため、クオリティのばらつきやスタイルの不統一などといった問題が発生しません。つまり、弊社ではエディターという「目詰まったフィルター」を通すことによって、どのような案件をご依頼いただいても常に一定以上の翻訳のクオリティを保つようにしています。
ただ、弊社のような体制を取っている翻訳会社はごくわずかで、訳文の最終的な品質管理を担うエディターを置いていないところがほとんどのようです。そのため、適任とは言えない翻訳者に「当たって」しまい、納得のいくレベルの訳文が上がってこなかった結果、社内での修正作業に追われたことがあるお客様は、腕の良い翻訳者を見つけるとその翻訳者を繰り返し指名する傾向にあるようです。依頼主に「前と同じ翻訳者にお願いしたい」と指定されるような実力をつければ仕事を獲得するチャンスは格段に増えるはずですから、翻訳者として生計を立てていくことを目指している方は、「この間の方にまた担当していただきたい」と言われるような翻訳者になるための努力を重ねていってはいかがでしょうか。
今年も当メールマガジンをお読みいただき、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。皆様どうぞよいお年をお迎えください。