■ 今月のキーワード ■
【debt service】債務返済、債務の元利払い
債務の元本と金利の支払いを意味し、debt service burden(債務返済負担)、debt service cost(債務返済コスト)、 debt service relief(債務返済負担の軽減)のような表現もよく見られます。
(例文)
The debt service burden of non-financial corporations increased in 2018.
(訳例)
非金融企業の債務返済負担は2018年に増加した。
■ 金融翻訳事情 ■
【「言葉」に対してどれだけ敏感になれるかがカギ?】
今回は、弊社のエディターが翻訳作業に役立つポイントについてお話しします。
英日翻訳に関して言うと、翻訳とは元の英文を正しく解釈し、それを自然な日本語に置き換える作業です。一定水準の英文読解力が求められるのは言うまでもありませんが、原文の意味を日本語で正確に表すにはどのような表現がふさわしいかを判断するための「言葉のセンス」も必要です。
それでは、言葉選びのセンスを磨くにはどうすればよいでしょうか? 翻訳者を目指す方であれば、日頃から情報収集源として活用しているテレビ、新聞、雑誌、インターネットなどのさまざまなメディアを単に事実関係を確認するためだけでなく、言語表現を学ぶツールとして活用すると効果的です。
例えば、テレビの報道番組であればアナウンサーの言葉遣いに注意しながら見たり、新聞記事なら文章構成、主語と述語の呼応などといった部分に着目しながら読んだりする癖をつけていくと、翻訳で使える表現が少なからずあることがわかってきます。また、自分が間違って覚えていた言い回しなどに気づくこともできます。さらには、似たような意味を持つ言葉同士の微妙な違いについて理解を深めるきっかけにもなるでしょう。こうしたことを常に意識していれば言葉の使い方に敏感になり、翻訳する際も原文にしっくりくる訳語を選び出す感覚が研ぎ澄まされるようになるはずです。
英語力だけでは質の高い翻訳ができないのがこの仕事の難しいところであり、訳文が適切な日本語表現になっているかを考えてみることが総合的な翻訳力を高めるうえで欠かせないポイントです。英文は正しく解釈できているのに訳文が今一つ、と思われている方は是非一度、言葉の使い方に関するセンスを磨いてみてはいかがでしょうか。