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global2j通信~VOL.158~ 2018年6月号

今月のキーワード ■

【OMO】公開市場操作

OMOはopen market operation(s)の略。公開市場操作とは、中央銀行が金融市場で国債、コマーシャル・ペーパー(CP)、手形などの売買を通じて市中に流通する通貨量を調節するもので、中銀の代表的な金融調整手段の一つです。

(例文)
The central bank announced regular government bond purchases through the OMO route.

(訳例)
中央銀行は公開市場操作を通じた定期的な国債の購入を発表した。

■ 金融翻訳事情 ■

【金融翻訳に求められる「意外な」もの】

金融翻訳に必要なものと言えば、何と言っても英語力・日本語力と金融・経済に関する知識ですが、実際に翻訳業務に携わっていると、その他にもいろいろな能力や知識が必要であると痛感させられる場面が数多くあります。今回はglobal2jの翻訳者が感じた「金融翻訳をするうえで必要な意外な知識、能力」についてお話します。

① 政治に関する知識やリサーチ能力

金融・経済と政治は切り離して考えられないことから、これは意外とは言いにくいかもしれません。しかし、日本語の新聞やウィキペディアなどでは調べきれないほど細かい知識が求められることに、翻訳を始めたばかりのころは驚かされました。すべての国の政治制度を知識として持っておくのは難しいと思いますので、政治に関する英語でのリサーチ能力を高めることが必要でしょう。また、日本語での文章作成という点でも、政治に関する文章には独特な言い回しや用語を用いることが多いため、日ごろから政治関連の記事を意識的に読んでおくことが重要と思われます。

② 映画や音楽、文学に関する知識やリサーチ能力

これまでに私が翻訳を担当した中には、「金利に関する難しいテーマのレポートにもかかわらず、冒頭の1段落すべてが某SF映画のストーリーの引用だった」、というものもあります。これは極端な例にしても、レポートの中に有名な楽曲や小説のタイトルなどが登場することはめずらしくありません。難しくなりがちな金融レポートを少しでも読みやすくするための筆者側の配慮なのでしょうか。娯楽の一環として洋楽や洋画、洋書などに親しんでおくのも無駄ではないと思います。

③ ユーモアのセンス

「お堅い」内容一辺倒と思われがちな金融・経済レポートですが、筆者の中にはユーモアのセンスを発揮するのが好きな方が意外なほど多いように感じられます。正直、そういった箇所は翻訳が非常に難しいのですが、上記②でも述べた通り、これは読み手への一種の配慮とも考えられますので(単なる筆者の自己満足の場合もあるかもしれませんが…)、こちらとしてもそうした意図を最大限にくみ取った翻訳を心掛けたいものです。翻訳学習だけでなく、時には息抜きにテレビのバラエティ番組や漫画などにも触れて頭を柔らかくしておくことも「仕事」のうちなのかもしれません。

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