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global2j通信~VOL.148~ 2016年8月号

■ 今月のキーワード ■

【on-the-run】オンザラン銘柄

オンザラン銘柄のon-the-runsのように名詞として使われる場合と、on-the-run UST(米国債のオンザラン銘柄)のように形容詞的に使われる場合の両方があります。オンザラン銘柄とは、特定の年限の債券の中で直近発行の銘柄のこと。一方、オフザラン銘柄は、オンザラン銘柄よりも前に発行された銘柄のことです。

(例文)
On-the-runs are typically the most liquid and actively traded.

(訳例)
オンザラン銘柄は通常、最も流動性が高く活発に取引されている

■ 金融翻訳事情 ■

【スタイルを整えるコツ】

文字や数字、記号の半角・全角、フォント、送り仮名、略語の表記の仕方といった文章スタイルの統一は訳文を作成するうえで非常に重要です。文章スタイルを整えることで、文章が読みやすくなるだけでなく、文章としての格調や信頼性が高まります。英文読解力や文章表現力を磨く努力とは違い、文章スタイルを整える努力は短時間で確実に成果をあげられるものです。翻訳を始めたばかりの方は、まずは文章スタイルを完璧に整えることを目標にするのもよいかもしれません。今回は、文章スタイルを整えるコツについてお話します。

<スタイルシートを作る>

文章スタイルに関する好みは依頼主によって微妙に異なることも多いため、global2jでは依頼主別にスタイルシートを作成しています。依頼主から直接指示を受ける場合もありますが、多くの場合は過去の完成版などを参照しています。代表的な項目を以下に挙げます。

  • フォント
  • アルファベットや記号の全角・半角
  • 略語の表記の仕方(正式名称の併記の有無、併記する場合その位置、など)
  • 通貨の表記(「ドル」などカタカナ表記にするか、「USD」などアルファベット表記にするか、など)
  • 人名の表記(カタカナ表記にするかアルファベット表記のままにするか)
  • 送り仮名の付けかた(「貸し出し」とするか「貸出」とするか、など)

訳文作成の際はこうしたスタイルシートを手元に置くなどして確認しながら作業を進めると効果的です。また、訳文を作成した後に再度チェックすることでケアレスミスを防ぐことができます。

<ワードの検索・置換機能の活用>

訳文の文章スタイルが整っているかどうかを確認するうえで非常に便利なのが、ワードの検索・置換機能です。ここでは例として「『%』の表記を全角に統一したい場合に、誤って半角にした箇所がないかどうかを確認し、誤った個所は全角に修正する」という作業を紹介します。

  1. 「Word 2010」の場合、「ホーム」タブを選択すると一番右側に「検索」、「置換」、「選択」の3つのツールバーが表示されます。
  2. その中の「置換」をクリックすると、画面中央に「検索と置換」というダイアログボックスが現れます。「検索する文字列」の欄に「誤った」スタイル、すなわち半角のパーセント「%」を入力。
  3. 次に「置換後の文字列」の欄に「正しい」スタイル、すなわち全角のパーセント「%」を入力。
  4. ダイアログボックス内の「次を選択」をクリックすると、「検索する文字列」に入力した文字列が(存在する場合は)選択されます(そうした文字列が存在しない場合はその旨がダイアログボックスで表示されます)。
  5. 「置換」をクリックすると、選択された箇所の文字列が「正しい」表記に修正されます。また「すべて置換」を選択すると、文章内の該当箇所がすべて「正しい」表記に置き換えられます。

こうして作業を機械化することで、目視だけではなかなか気付かないスタイルの乱れに気付くことができます。

いかがでしたでしょうか。今回の記事を作業にお役立ていただければ幸いです。

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