■ 今月のキーワード ■
【coincident indicators】一致指標
景気の変化と同時に変動する経済指標のこと。英語では concurrent indicatorsと表現されることもあります。また、景気の変化に先行して変動する指標を先行指標(leading indicators)、遅行して変動する指標を遅行指標(lagging indicators)と言います。
(例文)
The leading and coincident indicators improved in the second half of 2014.
(訳例)
景気の先行指標と一致指標は2014年後半に改善した。
■ 金融翻訳事情 ■
【仮定法の基本】
仮定法とは、事実ではない仮想の世界のことを表現する用法です。ありそうもないことを空想したり、書き手の願望などを表したりする際に用いられます。
経済レポートにも頻繁に登場しますが、翻訳するのが非常に難しく、ベテラン翻訳者の中にも苦手意識を持つ人が多い用法と言えます。高校の英文法で習った方も多いと思われますが、ここで改めて基本をおさらいしておきましょう。
なお、仮定法には、基本的に仮定法現在、仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法未来の4つの形があります。今回はその中でも多く使われる仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法未来の3つについてそれぞれの基本的な形と例文および訳例を見ていきます。
- 仮定法過去:現在の事実に反することを表現する場合に用います。
・基本な形
If+主語+動詞の過去形*…, 主語+(would, could, should, might)+原型不定詞….
*Ifで始まる条件節の動詞にbe動詞を用いる場合は、人称に関係なくwereとなるのが原則です。
・例文と訳例
If I were a bird, I could fly to you.
もし私が鳥ならば、あなたのもとに飛んでいくことができるだろうに。
If I had much money, I could buy it.
もしも私がもっとお金を持っていたら、それを買うことができるでしょう。 - 仮定法過去完了:過去の事実に反することを表現する場合に用います。
・基本的な形
If+動詞の過去完了形…, 主語+(would, could, should, might)+完了不定詞….
・例文と訳例
If I had known your phone number, I would have called you.
あなたの電話番号がわかっていたら、お電話したのですが。
If he had not been very careless, the accident would not have happened.
彼がそんなに不注意でなかったら、その事故は起こらなかっただろうに。 - 仮定法未来:実現する可能性が低い、または可能性がまったくない事柄を仮定する場合に用います。
・基本的な形
If+主語+(should, were to)+動詞の原形*…, 主語+(would, could, should, might)+動詞の原形*….
*Ifで始まる条件節にshouldを用いる形は、絶対に起こりえないことの仮定には使わないのが原則です。
・例文と訳例
If the sun were to rise in the west, I would never change my mind.
太陽が西から昇ったとしても、私は心を変えないだろう。
If anything should happen to you, please tell me anytime.
万一あなたに何かが起こったら、いつでも私に言ってください。
いかがでしたでしょうか。実務では助動詞が省略されていたりする場合もあり、「きれいな形の」仮定法にはなっていないこともありますが、まずは基本をしっかり押さえておくことが重要です。学習やお仕事のご参考にしていただければ幸いです。