■ 今月のキーワード ■
【O/N】オーバーナイト、翌日物
overnightの略で、主に金利に関して使われます。
(例文)
The O/N interest rate was lowered from 5.25% to about 0% following the 2008 financial crisis.
(訳例)
オーバーナイト金利は2008年の金融危機を受けて5.25%から約0%に引き下げられた。
■ 金融翻訳事情 ■
【自分の個性を出すべきか】
いよいよ、2014年が幕を開けました。今年から気持ちも新たに翻訳学習を始めてみようという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、特に初学者の方に見られがちな文章の「癖」に関するアドバイスです。
「文章を書くことが好き」という理由で翻訳業界にご興味を持たれ、学習を始められる方も多いでしょう。しかし、その「文章を書くことが好きな気持ち」ゆえに、伸び悩んでしまう場合もあるようです。翻訳学習を始められて間もない方の訳文を拝見すると、独特の「癖」が見られることがあります。例えば、華麗な文章にするために意訳しすぎて原文から意味が離れてしまったり、冗長な表現を多用したりすることです。いずれも、ご自分の表現力や個性をアピールしたいというお気持ちからくるものと思われますが、残念ながら、金融・経済翻訳においてはこうしたアピールはむしろマイナスとなってしまいます。金融・経済関連文書は、正確な情報を迅速に知るために読まれるものであり、優れた文章表現を味わうことを目的として読まれるわけではありません。ですから、翻訳の際にもできる限り簡潔に分かりやすい文章になるよう、そして原文の筆者の意向を可能な限り正確に伝えられるよう、翻訳者は言うなれば「黒子」のような役割を果たし、個性を消す必要があります。つまり、「誰が翻訳したか分からない」、さらには「それが翻訳されたものであることすら気付かれない」文章にすることが究極の目標とも言えるでしょう。文章を書くことが好きで翻訳を始められた方は、ここで欲求不満を感じることが少なくないようです。しかし、個性あふれる魅力的な文章を書くためには、簡潔で分かりやすい文章を書くことができる「基礎力」も不可欠。金融・経済翻訳の学習をきちんと積み重ねていくと、この文章の基礎力が格段に向上することは確かです。金融・経済翻訳学習で文章の基礎力を培い、その能力を活かして、ご自身の個性を他分野で発揮するというのも一つのアイデアかもしれません。