■ 今月のキーワード ■
【cash bonds】現物債
先物(futures)との対比で使われることが多い表現です。文脈によっては、単にcashとされる場合もあります。
(例文)
Bond futures are currently undervalued relative to cash bonds.
(訳例)
債券先物は目下、現物債に対して過小評価されている。
■ 金融翻訳事情 ■
【需要の多い分野】
夏真っ盛りの時期を迎えました。夏季休暇などのまとまったお休みを利用して金融・経済翻訳の学習を始めようとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「金融・経済翻訳」とは一体どういうものか、具体的にイメージできない場合もあるのではないでしょうか。そこで、需要の多い分野について、global2jの翻訳コーディネーターの視点からお話しします。
1.マクロ経済レポート
マクロ経済レポートとは、国家や国民、市場といった大きな視点から各国・地域の経済の動向を分析したものです。具体的なテーマとしては、発表された経済指標をもとにした今後の景気見通しや、選挙を控えた政策当局や消費者の動きなどが挙げられます。経済だけでなく政治などに関する詳細な記述がみられることもあり、翻訳に際しては幅広い知識が必要です。
2.マーケット関連文書
債券、為替、株式などの各マーケットの動向を分析したレポートです。経済情勢を受けた値動きや、各社の推奨トレードなどが主なテーマとなります。各マーケット特有のテクニカルな用語が頻繁に登場するため、新聞のマーケット欄などを利用して、日頃からこうした用語に慣れ親しんでおくことが翻訳力向上のカギとなります。
3.プレゼンテーション資料
上述の2つの文書に比べて頻度は低いですが、金融機関が顧客向けに作成するプレゼンテーション資料の翻訳も一定量のご依頼があります。こうした資料は、セミナーや商品説明などの際に使われるものです。要点がまとめられていたり、図解されていたりすることから、箇条書きが多い傾向があります。それゆえ、文章の前後関係や文脈が取りづらいことが多く、背景知識や、「行間を読む」能力が求められます。また、大半がパワーポイントのフォーマットであるため、レイアウト調整のスキルも必要です。
いかがでしたでしょうか。今後の学習の方向性をつかむ手掛かりとしていただければ幸いです。